Q.白紙委任状とは何か、その効力・書式・判例を教えて下さい。
白紙委任状とは
委任状には、委任事項や代理人(受任者)の氏名を記載せずに、一部を白紙のままにしたまま委任者が委任状に署名・押印しておくものがあり、これを「白紙委任状」といいます。
白紙委任状は、委任内容が一切書かれないことから、白紙の部分に、自由に委任事項を記入し使用できるため、委任する代理人に全ての権限を委ねることになります。交付される代理人にとってみれば、非常に便利な委任状になります。
委任状濫用によるトラブル
白紙委任状は、代理人が委任者が想定していない委任内容を記載したり、想定の範囲外の権限を越えた契約などが行われる可能性があります。
白紙委任状が濫用されたときも、委任者に責任が生ずることもあるため(民法第112条)、信頼できる相手であっても、白紙委任状に署名・押印し交付するときは、十分にご留意ください。
委任状によるトラブル事例
(1)委任者A氏が、以下の2つを受任者B氏に交付。
(a)実印を押してある白紙委任状
(b)A氏の印鑑証明書
(2)受任者B氏が委任者A氏の所有不動産Cを委任者A氏の許可を得ることなく勝手に処分し、第三者D氏に譲渡し、その代金の一部を着服した。
(3)第三者D氏は、不動産Cを転売し、受任者B氏は行方不明となり、委任者A氏は所有不動産Cを失うこととなった。
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