Q.委任状の有効期限は、いつまで続くのか教えて下さい。
概要
委任状の効力が有効な期間に、法的な規定はなく、委任状に法令で定められた有効期限はありません。
しかしながら、役所関係では、日付が古い委任状はトラブルの原因となるため、「委任状の有効期限は、作成日より3カ月以内」としているところがあります。
また、陸運局へ提出する委任状など、印鑑証明書や印鑑証明の印が必要な委任状は、「印鑑証明書の有効期限を3ヶ月」としているため、委任状の日付もこれに準じ、「作成日より3カ月以内」を意識して、早めに対応することが望ましいでしょう。
委任状の有効期間の留意点
委任状は、「委任契約」に基づき、「受任者が委任者自身が本来行うべき法律行為の委任を受けていることを示す書面」のため、その元となる委任契約が続いている間は有効となり、委任契約が終了した場合に、その効力が消失します。
通常委任状には、「~~~の手続きを~~~に委任する」のように、特定の委任する業務が明記されており、その委任された業務が終了した時点で、委任状の効力が自動的に失われていることが考えられます。しかしながら、委任した業務の終了が特定できないような場合は、その委任状の効力がいつ終わるかが明確でなく、受任者の代理権がいつまで続くかわからない状態となり、委任者にとって思わぬ事態となる恐れもあります。
※ 思わぬ事態とは、委任者が知らないうちに、受任者が勝手に(委任者の意図に反して)委任された範囲内(権限内)の行為を行い続け、その受任者が行った法律行為(取引)が有効となり、委任者が責任を負わなければならなくなることが想定されます(民法112条)。
委任状の効力を停止するために
委任契約を停止し(委任状の効力を停止し)、後々のトラブル防止するためには、以下のような対策が考えられます。
(1)委任状を回収する
(2)委任された業務が終了した時点で、委任状の効力が自動的に失われるように明記しておく
(3)委任状に有効期限を明記しておく
委任状に有効期限を設ける場合
有効期限を設けたい場合は、委任状の中に、
「尚、本委任状の有効期限は、○○年○○月○○日迄とする。」
「尚、本委任状の有効期間は、本委任状に指定される委任業務の終了日迄とする。」
などの文言を追加記載し、有効期限を明示することが望まれます。
(参考)民法における委任状(代理)関連条項
第三節 代理 第99条~第117条
(代理権の消滅事由)
第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
(代理権消滅後の表見代理)
第112条 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
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